直下型チューナーをベランダから地面に引っ越し

現在、HF帯は 2F ベランダにCQオームの6.5mエレメントを立て、ATU(AH-4) を使用。アース線は申し訳程度に3m x 6本程度をベランダ床に這わしています。以前、どこかの記事に、ATU はなるべくアースのそば(できれば地面)に置いたほうがいい、という記事があり、実験したいと思っていました。エレメントのポール下部から電線を下ろして地上の ATU まで引っ張ってくれば、エレメント長も稼げてローバンドの能率も上がりそうで良い気がしますが難点は

  • 地上付近のエレメントが邪魔になる
  • アース線が庭に多数這うことの是非

があります。現在のベランダのアース線についても家人から定期的に怒られていますが、庭に線が這うのとどちらが受け入れられやすいかわかりません。とりあえず「実験」と称して進めながら様子をみることにしました。。

写真でわかりにくいですが、6.5m のエレメントポールの下端から電線を垂らします。以前は赤枠のところに ATU を設置していました。

ガルバリウムの外壁から距離をとるため、竹竿にエレメントを添わせました。エレメントに人や自転車がひっかからないように黄色い紐を結びつけました。

アース線(カウンターポイズ)の設置

ハムワールド 2022/9月号「カウンターポイズは長さと本数で決まる」記事で、アース線は5m x 9本が推奨とあり、そのとおりに施設することにしました。ところで、複数の電線を1本にまとめるのは意外に難しいです。先日、電源配線をやり直した折、

オークションで買った端子台にちょうどいいものが混ざっていました。

 VSF 1.25mm2 を9本カット。末端防水のため自己癒着テープを巻くのが結構面倒です。

AH-4 を移設するにはコントロールケーブルも引き直す必要がありますが、外すのが面倒なため、とりあえず以前作った手動式直下型チューナーで試します。

ちょうど箱がハマる置き場所がありました。

チューナを接続する前にエレメントの共振周波数を測定。

5.5MHz 付近で同調。波長にすると約 55m で 1/4 では13.7m。ポール長+電線長=6.5 + 5 = 11.5m なので低めの周波数に同調していますが、そういうものでしょうか。

直下型チューナーで 7MHz 帯に同調させました。アース線の本数を変えてSWR変化を見てみました。(7.4MHz と表示されているのはスイープ上限周波数です。)

アース線=2本

アース線=9本

やはり本数が多いほうがブロードになっています。特に低い周波数。しかし、2本でも使えないことは無いようです。

運用

無線機に繋いで 7MHz で送信してみました。そのとたんに違いがありました。それはインターフェアが無くなった!ということです。以前は 10W 出力でも、PCのスピーカーに雑音が入りました(アンプI)。それがこのアンテナにしたところ全く雑音は出ません。50W では少し出ますが、気にならない程度のレベルです。アース線9本敷いた甲斐があったかな!?

FT8 での QSO では相手の送ってくるレポートがこちらの受信dB値より良くなっている感じがします。7MHz 国内 FT8 は 10W 出力で運用しているため、基本的に相手に届く信号は受けているよりも弱いことが多いのですが、このアンテナにしたところ、逆の場合が増えました。もちろん時刻やコンディションにも左右されるのではっきりとはわかりませんが、以前より良さそうです。

7MHz国外も試しました。たまたま見えたブラジルの局を一度呼んだのですが、応答なし。その後他の局も2回ぐらい呼んでいました。諦めていたら、なんと当局に応答があり、73 まで終わりました。この局が見えたのはそのときだけでしたのでラッキーでした。なかなか良い感じです。

残念ながら、手動式直下型チューナーでは 7MHzと21MHz 以外は同調がとれませんでした。エレメント長が長くなったのでローバンドもいけるかと思いましたが、だめでした。

インターフェア無くなったという点だけでもこの設置方式には利があります。庭をのたうち回る電線には今のところ苦情は出ていません。

エレメントは自転車の出入り時に引っかかったら抜けるよう、途中をコネクタ接続にしました。が、その部分の防水対策がなかなか難しいです。

手動式チューナーでの動作は良好なので、今後は AH-4 を移設してこのアンテナで運用しようと思います。家人に実験が長すぎると言われるかも知れません。

追試:コイルを追加

ATU を使っていて低いバンドに出るため、皆さんがやっているように、エレメント最下部にコイルを追加してみました。コイルは以前7MHz 用 VCHアンテナに使用して、劣化してボビンが割れたものです。L=30μH ぐらいあります。

チューナー無しで 2MHz 付近に同調しますが、SWRが落ちきりません。

今度はアース側にコイルを入れてみました。若干低めの周波数 1.97MHz ぐらいになり、SWR も低くなりました。

コイルの巻数をもう少し増やせば 1.9MHz 帯に出られそうな感じはします’が、このぼろぼろのコイルでは再現性が困難です。同調周波数を毎回同じにできそうにありません。このあとチューナー経由で同調するか試してみましたが、どこにも同調しませんでした。。

第42回オール埼玉コンテスト

地元のコンテストなのでちょっと気合が入ります。が、設備的にはいつもと同じで他のコンテストと変わりはありません。。昨年に引き続き 2m CW/SSB で参加することにしました。ウチの場合、2m で参加するときの要件に「風が吹いてない」ことが必要です。アンテナポールのステーをとる場所がないので、ベランダの収縮ポールにGPを付けて、運用時のみ伸ばしています。

写真は短縮時ですが、ポールを最大に4.5mに伸ばすと給電部が50cmぐらい、軒よりも上に出ます。ラジアルは3本付けるとぶつかるので2本です。

3段GPなので、ちょっとでも風があるとエレメントが軒にぶつかったり、大きくしなるので、コンテストでは丸一日、風が無いことが重要なのですが、、昨日は午後から風が少しでてきて、ポールを低めにせざえるを得ませんでした。

結果:

昨年よりマルチは3増えましたが昨年の点数(177x39=6908点)には達しませんでした。

CQ出してもあまり呼ばれなかったのですが、今年から県外どおしの局のQSOも有効になったことも関係あるかもしれません。県内局としては少々残念。

大晦日プチ移動

「プチ移動」といっても、たまたま山でQSOができただけです。「義務的な外出」が当初の目的でした。その理由は。。

去年も年末になってしまってもったいない乗り方しかできなかったので、今年はちゃんと使おう、と思いながら期限日になってしまいました。捨てかかっていたのですが、出かける気力が出たので、最寄り駅から終点まで往復してみることにしました。リュックがスカスカなので、駅前でちょっとQRVでもできれば、と思ってVX-3を持参しました。このリグ、一昨年購入後、受信のみでまだQSOしたことがありません。(^_^;)

終着駅は埼玉県入間郡越生町

駅の周りをぶらぶら、と思っていたのですが、わりと近くに山があるのでそちらの方向に歩いていきました。

低山ですが、急に険しい登山道になりました。人っ子一人いない、大晦日の登山道。クマ出没も頭をよぎり、恐る恐る登りました。

10分弱ぐらいで山頂に到着。

なかなか眺望もいいので、VX-3 を出して 145.00MHz で CQ を何度か出しました。無線を再開して5年ぐらいになりますが、CW/SSB/FT8 のみでしたので 2m の FM は中学生以来。40数年ぶりなのでドキドキします。が、呼ばれず。スキャンしても、どこも聞こえません。430 はどうかと思って、聞いてみると、筑波山の移動局がいました。さっそく呼んでみるととってもらえました。互いに 59 で QSO できました。

晦日に思いがけず、1局でしたがQSOできました。ハンディ機でちょっと交信しただけでも、なんだか充実感を感じました。やはり外に出るのはいいものです。

お読みいただいている皆様、ありがとうございました。良いお年をお迎えください。

 

 

「東京へ行こう」~アマチュア無線の登場するドラマ

昔、アマチュア無線が劇中に登場するドラマはたまにありました。以前VHSテープをMPEGにデジタル化したファイルを先日整理していたのですが、こんなドラマがありました。

水曜グランドロマン「東京へ行こう」(日本テレビ/放送日:1991年9月18日)

脚本=関根俊夫 演出=高井牧人

主人公(川谷拓三)は釧路の漁師ですが、減船のため船を降りなければならず、仕事を見つけるため一家で東京へ行くことにする、といった話です。無線をやっているシーンが最初の頃にでてきます。

奥さん(木の実ナナ)が夫に襖越しに話しかけるシーン。

返事がないので、奥さんが襖をガラッと開ける。

旦那は縦振り電鍵でCWを打っていたのでした。
押入れの下半帖をシャックにして、ヘッドホンしてCWを打っている、という場景が非常にマニアックで、アマチュア無線をやっている人でなければこういうシーンを入れることはできないと思います。主人公は船舶の通信をやっていて趣味にもした、という設定だったのかも知れません(船上のシーンは出てこないです)。

奥さんの小言に「うるさい!」と怒鳴って川谷拓三は襖をバン、と閉めて無線を続ける、というところでこのシーンは終わります。
アマチュア無線が主人公の趣味として、このようなマニアックな形で取り入れられているドラマを他に見たことがありません。無線が趣味である必然は無く、別の趣味でも成り立つドラマなのですが、寡黙な主人公の唯一の趣味、みたいなものを演出する意図かも知れません。Phone でなく CW にしたところにそれが出ている気がします。このシーンを目にした当時のハムは食い入るように見たことでしょう。

無線機の感度測定

無線機の感度を測定してみたくなり、少し前に SG (Signal Generator) をオークションで入手しました。菊水 KSG4300 という機種で 10kHz~280MHz を発振できます。SG は HP 製品の出品が多いのですが、HPはなにせ奥行きが長くて置き場所が無い。この菊水SGは IC-7400 と同じ奥行きなのでラックに収まります。発振器なら自分で作れるのではないか?と思いましたが、弱い信号を可変して出力できるようにするのは難しいことがわかりました。KSG4300 の中を見ると、厳重にシールドされていて、余計な信号が外に出ないようになっています。

↓SGの外側のカバーを外し、さらにアルミの蓋を外して上部から見たところ。

無線機感度を調べる前に、このSGがちゃんと出力しているのか見てみます。説明書によれば、最大出力は開放端で 132dBμV つまり Vrms=4.00[V](実効値)のはず。

TBS1022オシロで出力電圧を測定した。
出力 132dBuV @3MHz では Vrms=4.00[V] で仕様どおりです。

しかし、周波数を上げていくと、
5MHz 4.03V
7MHz 4.10V
10MHz 4.18V
20MHz 4.27V
25MHz 4.48V
30MHz 3.65V
となり、出力電圧が一定していない。
TBS1022 は 25MHz のオシロなので、周波数が上がると、測定電圧は下降してくるはず。 https://www.tek.com/ja/documents/primer/evaluating-oscilloscopes によれば、誤差なしで測れるのは 5MHz までの模様。そして 25MHz では -3dB の減衰になる。しかしながら、実測では逆に電圧が上昇している。
ということで、このSGは出力周波数によって出力電圧が変わってしまう、という問題をかかえている。

表示されている絶対出力値は当てにならないが、10MHz 以下なら概ね最大出力値の誤差は小さいので、感度の相対比較であれば問題はない。普段使っている 7MHz で感度をチェックしてみる。

-73dBm について

本来の S/N 測定ならば http://musen8.blog.fc2.com/blog-entry-149.html  のページに記載されているような方法でやるらしいが、面倒なので、-73dBm 入力時のSメーターの読みを見ることにした。

-73dBm は無線機の「Sメーター 9」に相当する入力レベルとのこと。

https://ja.wikipedia.org/wiki/DBm

これでは測定しているのはSメーター感度になってしまうが、とりあえずということで。

[KSG4300 で -73dBm @7MHzの信号を入れた場合]

※P1, P2 の値は Pre Amp 1, 2 を ON した時

名称

Sの値

Sが 9 になるSG出力レベル

IC-7400

S9

P1:S9+10

P2:S9+10

-73dBm

FTDX10

S6

P1=S9

P2=S9+10

-64dBm

TS-130V

S4

-62dBm

FRG-7

S9+30

-95dBm

FT-101ZD

S9+5

-77dBm

R-600

S9+10

-83dBm

QCX+ ※1

S6

-64dBm

KEM-RX7-DX ※2

(かなり強力に受信)

-113dBm

ER-21T ※3

(かろうじて変調音聞こえる)

-51dBm

現代のリグは、プリアンプ「入」で昭和のリグ(受信機)と同じ程度のSになる設計のようです。TS-130V はSメーターの振れは少なめですが、使っているぶんには特に感度低下は感じません。

※1 QCX+ は以前制作したキット 

QCX+ 5W CW トランシーバーキット着 - cruzioのブログ

S メーターは 12 個のバー表示式で、しきい値をメニューから変更できる。今回の測定はデフォルト状態。意外に感度は悪くなかった。

※2 KEM-RX7-DX は以前制作したキット

KEM-RX7-DX 製作記1 - cruzioのブログ

Sメーターが無いので、-113dBm はスピーカーから変調音が聞こえなくなるレベル。プリアンプを付けているためか感度良い。

※3 ER-21T は短波を受信可能な小型ポータブルラジオ。

アナログ愛 ELPA ER-21T - cruzioのブログ

-51dBm は、液晶の "Tune" 表示が点灯したときのレベル。さすがにこの手のラジオになると明らかに感度は下がる。

総じて、無線機や受信機と呼ばれる機器であれば感度はほとんど差は無いことがわかりました。今度は無線機の調整などもしてみたい。。

無線機の電源配線改善

無線機の電源をひとつの安定化電源からとっているので、電源端子周りがぐちゃぐちゃになっています(写真を撮るの忘れました)。そのうちに、と思いながらそのままでしたが、今日直すことにしました。

配線工事に使う端子台を使おうと思い、端子台とショートバーを物色したのですが、ショートバーは単なる金属板なのに高価で2の足を踏んでしまっていました。

※端子台は通常1対1の配線をするためのもので、電源を1対多に振り分ける場合などはショートバーを使います。

結局、オークションで使えそうな端子台を落札しました。こんなに沢山はいらなかったのですが。。

プラスとマイナスを別の端子台で配線するようにしました。ショートバーの代わりに銅線をはんだ付け。

机の下はカオス状態。インターフェアー防止のため、USBと電源は分けたいのですが、諦めて、パッチンコアを適当に入れてます。横方向のパイプは足場パイプで、中に同軸ケーブルを通しています。

すっきり配電できるようになりました。

話は違いますが、100W機のリグには 25A のヒューズが付いています。

昔、電気工事士の試験で、ヒューズは2倍の電流が流れても、切れるのに時間がかかる、というのを勉強した記憶があり、

私の使っている電源は連続 30A ですから、無線機が短絡しても 30A すなわち 1.2倍の電流までしか供給できません。上のページの仕様が無線機の平型ヒューズにも当てはまるかどうかわかりませんが、1.25倍流れても 60分持つのでは、30A Max の電源はあまりヒューズは用を成さず火事になりそうです。電源の過電流遮断器がちゃんと動くことを祈ります。