カワイ電子ピアノのペダル修理

子供がピアノを習うために昔買った電子ピアノを2階から1階に移動するため、その前に動作チェックをしたところ、右ペダル(踏むと音が伸びる)を踏んでいないのに
音が伸びたままになる、という故障が発覚しました。

[バラしたピアノ]

本体からペダルに接続されているコネクタを抜くと、問題は解消するため、ペダルのスイッチの問題と思い、導通チェックしましたが、どのピンもペダルを押しても導通しないので、単なるスイッチではないようです。ペダルを分解してみると、基盤にちょっとした回路が入っていて、機械的スイッチではなくフォトトランジスタのようでした。
[問題のペダルと基板]

簡単な回路だったので回路図を書き起こしてみました。フォトトランジスタがオンするとトランジスタのオープンコレクタが導通して出力電圧が出るようになっていました。

ちなみに、基板に KKB-018 と書いてあるので、検索してみると、この基板を売っているサイトがありました。

Kawai PCB KKB-018 Pedal PCB | Synth-Parts.com

今回は購入不要ですが、こんな古いピアノのパーツを売っている会社があるとは驚きました。ヨーロッパのサイトですが、さすがにあちらの方々はモノを長く使う姿勢が感じられます。

回路図を基に動作確認にしてみましたが、フォトTRに手を近づけると、いずれの素子でも電圧が出てくるので問題は無いようです。しかし、ピアノに接続するとやはり音が伸びてしまいます。そこで、試しにフォトTRをオンにしてみると、音は正常になりました。つまり、この回路は負論理(電圧が出ている状態がオフ)だったのです。コネクタを外すと正常だったので負論理は無いと思っていたので、なかなかわかりませんでした。したがって、ペダルレバーを踏んでいないときはペダルの白いところの反射によりフォトTRがオンになっていないといけないということです。

ペダルレバーの反射面は特に問題無く、また反射面の位置を調整するネジなどはありませんでした。そこで、VR3 を回すと、ペダルの上げ下げで出力が変化するように調整できました。フォトTRが劣化して感度が落ちていたと思われます。

結果としては VR の調整で対応できる問題でしたが、闇雲にいじってみるのではなく、論理的に原因にたどり着けました。ピアノを移動したら、ちょっと自分で練習してようと思います。楽器の才能は無いので、過去に何度も挫折していますが、せっかく直ったので今回はがんばろう!それにしても電子ピアノって重いですね。。

2024/3/1 追記

ペダルの故障で、このページに来られる方が多いようなので、修理(調整)方法について追記します。

修理するには、3つのペダルを止めている外装のネジをすべて外し、さらに中の基板を止めている小さいネジを外します。基板を裏返すと、半固定抵抗と呼ばれる部品があります。半固定抵抗はドライバで300度ぐらい回すことができ、適切な位置に調整するとペダルが正常に機能するようになります。

簡易な調整方法

ペダルのコネクタをピアノに接続し、半固定抵抗 VR3 をちょっと回してから、基板を元の位置に戻し、ネジは止めないで基板を手で押さえます。鍵盤を叩いて音が伸びなくなったら、今度は右ペダルを押して、音が伸びるか確認します。ペダルの踏み加減に応じて音の伸びが比例する位置になるまで VR3 をちょっとずつ回して調整すればOKです。真ん中と左のペダルも同様ですが、なかなかわかりにくいので、問題なさそうなら他の半固定抵抗には触らないようにします。

※ちゃんと調整する場合は、以下のようにします。
電源(電池2本でも可)とテスタが必要です。電池をつなぐ線を間違えると基板上の部品が壊れる可能性があるので注意してください。
1. コネクタの黄色い線に電池のプラス、黒い線に GND(マイナス)を接続する。ワニグチに細い線を付けて差し込むとよいです。
2. 次にテスタを DC 5V あたりのレンジにして、プラスのリードを青、マイナスリードを黒に接続します。
3. 基板を元の位置に置き、右ペダルが押されたときの動きに比例して電圧が 0~3V 程度に変化するように VR3 を回しながら調整します。
4. 他のペダルも同様に、テスタのプラスリードを赤に接続して中ペダル、緑に接続して左ペダルを調整します。

GOOD LUCK!