商用電源の周波数変位計

概要 ACの周波数を周波数カウンタで見ていると、ごくわずかですが、東電の管内では50Hzから上下していることがわかります。時計が狂うと困るので1時間の単位ではほぼ50Hzになるように調整されている、と本で読んだことがあります。が、実際にはどのくらいの範囲でぶれが出るものなのか、日常的に様子がわかるように周波数変位計(偏移計?)の作成にトライしました。 この製作には他にも理由があり、手元にある下のメーターを何か役に立たせる方法は無いか?とずっと思っていたのでした。ちょうど50が真ん中なので、今回の目的にはうってつけです。値は実際には正しい値にはならないですが、50だけ合えばよいかと。
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設計 50Hz を中心周波数としたノッチフィルタまたはバンドバスフィルタを通してやれば、50Hz からずれれば、信号レベルが変化するので、変位を得られます。出力はアナログで見たいので、メーターを接続すればOK。フィルタは簡単にできそうなオペアンプを使った多重帰還型バンドパスフィルタを作ることにしました。 回路図(EScad にて作成)
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抵抗とコンデンサの値で中心周波数が決定されます。計算式は確立されていますが、手計算は面倒なので、こちらのサイトにお世話になりました。しかし、計算どおりの値の素子を使ってもぴったりにはならないので、おおよその値がわかったらあとは入力周波数を変化させながら、出力の様子を見て調整する必要があります。調整はR2を変化させます。R1 とR3は利得に効いてくるようで、抵抗値を変えても周波数にはあまり影響を与えませんでした。 今回は手持ちのパーツの関係で下記の値としました。 OPAMP NEC C741C R1 20KΩ R2 15Ω R3 470KΩ C1=C2=1μF 計算値は 中心周波数 F=60Hz Q=108 商用電源周波数の取得は、2次側電圧が10ボルト程度のトランスを経由して取得しています。 実装 ブレッドボードに組みました。
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全体
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観測すると、F=56Hz あたりが中心周波数になっていました。F=50Hz に調整するため、R2 を100Ωの可変抵抗にしました。 結果 予想はしていましたが、やはりこのフィルタでは次数(フィルタ特性の急峻さ)が不足していました。そのため、商用周波数の変動程度の周波数変化ではフィルタ出力があまり変化しません。ためしに同じ電源タップにドライヤーを接続してオンオフするとメーターの軸の幅ぐらい動きました。 今後 やはりもっと急峻な、高次数のフィルタが必要です。しかし、対象の周波数が50Hzと低いため、難しいです。アナログメーター表示はあきらめて普通のデジタル周波数表示の方にトライします。 参考書籍