コイル・コンデンサで本当に90度、位相がずれるのか観測を試みる
コンデンサとコイルの勉強をすると必ず出てくる「位相」の進み・遅れ。コンデンサでは電圧が90°遅れ、コイルでは電流が90度遅れる、となっています。以前からこれを実際に観測したいと思っていました。
こ~んな波形を観測したい ↓
下記に試した結果を記します。
方法1
この接続でコンデンサ入力と出力の電圧を見れば測れるはず。が、実際に試すと。。
出力は歪んだ波形が出力されるだけ。位相はずれていない。おそらく、電流を流していないためと思われるが、なぜだめなのかきちんとした理由はわからず。
方法2
電流を流すために抵抗Rを付けます。
Rの両端の電圧を測るということは、回路の電流値を測ることになります。
さて、Rは何オームぐらいにすればよいのか?
ここで回路図をよく見ると、これはRC直列回路である。ということは電圧・電流の位相差は90°より小さくなり、Rの値が大きいほど位相差は小さくなります。
たとえば入力10Vとした場合、Rの両端電圧を1Vに抑えれば、Cには10V近くがかかります。ただし、これでも観測できる位相差は84.3度に減少してしまいます。
しかし、Rが大きく、両端の電圧が6Vになると、Cには8Vしかかからず、位相差が90度の半分近くになってしまいます!(Cが主体でなくなる)
90度になる様子を観測したいので、Rの値はなるべく小さくしたいところですが、そうすると出力 Vout の値も小さくなってしまい、オシロでも観測できなくなってしまいます。つまりどちらかを満足しようとすると他方は得られないという状況です。
この様子をよく理解できるのがボード線図です。CR接続はフィルタ回路と同じ回路でローパスフィルタやハイパスフィルタを形成するのでこの回路の特性を表わすボード線図を参考にできます。
各種回路のボード線図
(きたない手書きですみません)
これらをみると、位相が90度になるときは出力は低下する特性です。どの回路でも逆の特性は無く、90度の位相を観測しようとしても、そのときの出力がゼロに近くなるため計測が困難です。
結論
直接90度の位相差を観測する平易な方法は意外に無い。ということになりました。
CR回路で位相を確認可能なのは位相差が60度ぐらいが妥当な範囲のようです。
参照
ベクトル図の作成にはGRAPESを使用しました。