CR発振回路の実験

概要 CR発振回路の移相回路で位相が180度ずれていく様子をオシロで確認する。 背景 元々は単にCR回路での位相のずれが発生する様子をみたいだけだったのですが、グランドが共通になっていない特殊なプローブを使わないと、簡単に観測することは難しいことがわかり、たまたま本を読んでいて見つけたCR発振回路の移相回路の波形を見れば位相のずれを見られそうと思い、実験をしました。 なお、オシロスコープに丸い円をリサージュで表示したいと思い、位相が90度ずれた波形もこの移相回路から取り出せば見られると思いましたが、それはNGでした。理由は後で。 回路 当初はブレッドボード(使うのが初めてだったりする)に回路を組んでみましたが、動作しないため、位相回路のみブレッドボードに組み、残りをマイキット150で配線しました。 理論発振 f = 1/√6 x1/2πCR = 629[Hz]
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ブレッドボード上の移相回路
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全体
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観測波形 生成された発振波形 9.5div=1.9mSec/526Hz (*周波数カウンタによる計測では 580Hz) 本来、正弦波になるはずだが、かなりきたない波形となっている。今回はあまり気にしないで進める。
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移相1段目 60°= 9.5div x 60/360 = 1.58div (計算値)
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移相2段目 120°= 9.5div x 120/360 = 3.17div (計算値)
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移相3段目 180°= 9.5div x 180/360 = 4.75div (計算値)
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考察 各段における波形がまるで異なっているため、「位相のずれ」がわかりにくい。特に3段目などは波形がなまっていてピーク位置がわかりにくい。が、位相のずれの量はおおよそ計算値と合っている。 それにしても、発振元から離れるに従い、このように波形が汚くなっていくとは想像していなかった。ベースに戻った入力波形がこのように汚いにもかかわらず、正弦波に近いものが出力されるとは不思議である。 なお、実験して試してみると、3段でなくて2段や4段でも発振する!つまりちょうど180度ずれる周波数が、その他の条件(トランジスタの特性など)と適合すれば発振するようである。理論的には2段では発振しないはずだが、コンデンサの値は配線がLとして機能しているのだろう。機会があれば段数を増やして 360+180 つまり6+3段で試してみたい。 参照 - CR発振回路の周波数の決め方 - 正弦波を作る